びーの日記

本とか、音楽とか、映画とか、絵とか。だいたいひとりごと。

天気のいい日に

 今日、まず考えたことは「天気がいい」だったと思う。空が青かったし明るかった。今日はさまざまに姿を変える。いい日のこともあるし、気分が落ち込んで抜け出せないような日もある。それでも私以外の誰かの視点では、同じ一日にも何通りもの「今日」がある。そんなことを次に考えた。今日は世界のどこかで素敵なことが起きている、そんな当たり前のことを意識せずにはいられないくらいに、気持ちのいい朝だった。

 この頃ふと考えるのは、私は人間関係でできているということだ。何も手につかない時、思考が繰り返してどうにも抜け出せないような気がする時、私は何を考えているのか注視してみた。それは、誰かの言葉だったり、気配だったり、雰囲気だったりした。私は海や空が好きだ。晴れた日の、冬の高い空が好きだ。しかし、そこにずっと居たいと思うことはあっても、その静かな環境に浸りながらやがて私の思考がかえってゆくのは、やはり誰かの言葉だったし、思いだった。

 時々、私は自分というものの頼りなさに愕然とすることがある。私は何によってあらわされるのだろうか? 私は自分をどう紹介できるだろうか。全て曖昧なまま、一色に塗ることのできない在り方が怖くなる時、私にはいろいろな人の言葉や思考が詰まっていることを思い出すようになった。それは人から、本から、情報の海から、直接・間接を問わずに受け取った言葉だったし、繋がりだった。

 その言葉は長い間眠っていて、不意に目を覚ますこともある。故人も、暫く顔を見ない友人も、その他のどんな関係も、終わってはいなかったし、消失していなかったことを思い出す。私の心の中で生き続けていたことに気が付く。例え世界に一人きりみたいな気がしている時でも、それはなくなったりはしていない。ただ私に見えないだけで。

 それを忘れないようにしたいと思った。自分の心の中にある、もしかしたら昔よりも仕舞い込まれて見えにくくなってしまっているかもしれない、好きなものや大切なものを、見失わないようにしたいと思った。そんなことをふと連想する、天気のいい日だった。