びーの日記

本とか、音楽とか、映画とか、絵とか。だいたいひとりごと。

天気のいい日に

「天気のいい日に」考えたこと

かたちにする

かたちにするって、難しい。だからこそ、かたちにしてみたいと思った。ということで、つい先月のこと、私は自分の文章を製本してみた。製本してみた、といっても依頼して完成品を郵送してもらったのである。文庫本サイズで110頁、その頃、何も手に付かずに苦…

寂しさについて

私は時々、自分がなにをしたいのか、なにが欲しいのか分からなくなる。恐らく全て不正解なのだろう。誰がいても、なにが手に入っても足りないままだ。私は今まで、この根源的な寂しさに気が付かずにいたと思う。家族といれば寂しいとは思わなかった(時々は…

移り変わる空と地上の話 星空

私たちはプラネタリウムにいた。プラネタリウムのある建物の、展示コーナーで銀河の解説が書かれたパネルを読んでいた。小さな子供を連れた家族や恋人たちに混ざって、私たち三人はその場の平均的な空気から、半歩ずれていたと思う。なんでもない休日だった…

移り変わる空と地上の話 夕日

私は何かを恐れていた。今に始まったことではない。ずっとずっと、私には怖いものがあったし、それは大人になれば減るどころかだんだんと増えてゆくのだ。例えばこの赤、こんな風に晴れた日の限られた時間だけ、気まぐれに見かけるこの色が怖い。美しいもの…

移り変わる空と地上の話 青空

ああ梅雨が明けた。ふっと心が浮き立つのを感じた。私には天気図は読めないし、データの示す意味も分からないというのに。しかしこの空の高さ、広さ、青さが何よりの証拠だと思う。それが大切なことなのだけれど、大人の習慣を身に付けた私には、この感覚が…

移り変わる空と地上の話 朝日

ゆらゆらと光が揺蕩う海底を思い浮かべた。まるで水底から見上げたように、藍から青へ、青から白へと色が折り重なり混じり合って奥行きを生み、それでいて手を伸ばして触れようとは思いもよらない程に透明なのであった。そう、あの空には手が届かないことを…

【創作】花を植えた話

花を植えた。正確には花の種を植えた。植物を研究している研究室なのだから、きっと綺麗に咲くだろう。一仕事終えた僕は、直径5cmくらいに小さく切り取られた地面をデスクに置いた。花の名前は知らない。書いてあるけれど、認識するのも面倒だ。季節が相応…